令和3年度 井野病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - - 21 17 21 38 55 138 259 178
退院患者様全体の約85%が60歳以上の方となっており、特に80歳以上の患者様が全体の約6割を占めています。
地域に根差した高齢者医療の一役を担っており、近隣の病院や医院・施設等とも連携しています。                              併設の老健施設の他にサービス付高齢者向け住宅など退院後の施設も充実し、医療・看護・介護の連携したサポート体制も整っており、急性期治療が終了した後も、医療相談員などが退院後の受入れ先を提案・調整させていただくなど、退院後も安心の体制をとっております。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081XX99X0XX 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 71 26.00 20.57 5.63 87.48
060100XX01XXXX 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 46 4.17 2.65 2.17 65.54
050130XX9900XX 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 34 29.24 17.35 8.82 88.32
110310XX99XXXX 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 34 29.21 13.14 8.82 84.24
060340XX03X00X 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 21 30.43 9.21 4.76 86.86
各科共通・・・症例数が10未満の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。(地域包括ケア病棟への入院は除く)

【解説】内科では、高齢者に多い疾患である誤嚥性肺炎、腎臓・尿路の感染症、心不全に加え、小腸・大腸の良性疾患(ポリープ)、胆管炎での症例となっています。平均年齢も大腸ポリープを除くとほぼ80歳代となっています。転院例は12件ありました。その内、病状に関わらず希望で転院した例もありますが、他には他疾患発症にて専門医での治療が必要となった例や紹介元の病院へ戻る例、療養型病院への転院となっています。
1位は誤嚥性肺炎、2位は、内視鏡手術を行った大腸ポリープ、3位は心不全、4位腎臓・尿路の感染症(腎盂腎炎など)、5位胆管炎となっています。
大腸ポリープについては、かかりつけの患者さまはもちろんの事ですが、連携先医院からの内視鏡精密検査の依頼や健診・人間ドック検査からの入院など様々な入院のパターンがあり、他院や当院健診センター等とも連携し、内視鏡専門医が検査・治療にあたっています。、現役世代の方も多くお仕事・家事に支障が少ないよう、2~3日の短期入院で済むよう心がけているため他の4症例に比べると、平均年齢も在院日数も低くなっています。
平均在院日数は全症例において全国平均より長くなっておりますが、これは高齢患者様が多いこともあって、疾病が軽快した後もリハビリテーション等の継続や施設等への退院調整をじっくり行っていることで、安心して退院していただけるような体制をとっているためと考えます。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310XX99XXXX 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.14 - -
2021年7月より、当院外科診療は休止となっているため症例数は2件のみでした。
昨年度より、外科医が総合診療医として内科診療にも携わる事になったため、腎盂腎炎の症例となっています。

転院例はありませんでした。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800XX01XXXX 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 19 52.53 25.32 10.53 85.84
070200XXXXXXXX 手関節症(変形性を含む。) - - 7.59 - -
160720XX01XXXX 肩関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 - - 14.64 - -
160760XX97XX0X 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病 なし - - 4.99 - -
160690XX99XXXX 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし - - 19.34 - -
整形外科では、主に高齢の方の転倒に伴う股関節・大腿骨の骨折や、骨粗しょう症が原因で骨がもろくなり起こったと考えられるその他骨折による入院が多く、平均年齢は概ね80歳以上と非常に高くなっています。
1位は前年度同様に股関節・大腿近位の骨折で手術を必要としたもので、手術は大腿骨の患部にメスを入れ、人工骨や金属プレートを用いて骨折部を整復するものです。(股関節内の人工骨頭挿入術、大腿骨の接合術など)
2位は手関節症、肩関節骨折や前腕骨折での手術での入院が同件数ずつありました。
5位は、腰椎圧迫骨折などがありました。手術を行わない保存療法でコルセット作成やリハビリテーションを行ったものでした。
転院例は2件で、継続リハビリテーション目的例と紹介元(専門)への転院でした。
骨折等のほとんどは高齢患者様ですが、疾患が軽快した後も継続してハビリテーション等を行い、ADL(日常生活動作)の回復を図ることで退院後も安心して生活して頂けるようこころがけています。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030428XXXXXXXX 突発性難聴 - - 8.75 - -
030400XX99XXXX 前庭機能障害 手術なし - - 4.92 - -
030425XX99XXXX 聴覚の障害(その他) 手術なし - - 7.71 - -
主にめまいや聴覚の障害での入院がありました。めまいには、前庭機能の障害と末梢前庭以外のものがありますが前庭機能障害での入院でした。
点滴や投薬治療で改善、1週間程度の入院期間となっています。
2020年1月に開設となった診療科で医師は常勤で在籍、診療を行っているため、退院後も引き続き通院・受診をしていただけます。
入院の全体数は少ないですが、各種検査設備も整っており、病状に応じて、常時入院受入・対応できる体制となっています。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002XXX99X0XX 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等2 なし - - 8.75 - -
婦人科は一時休止していましたが、2021年4月より女性医師により診療再開しております。
入院の受入れもしており、今年度は子宮頸部の疾患での入院のみでした。
外来診療においては、全ての年代の女性が心身ともに健康に過ごすためのサポートや相談・治療を行っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - 1 8
大腸癌 - - - - - - 1 8
乳癌 - - - - - - 1 8
肺癌 - - - - - - 1 8
肝癌 - - - - - - 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
症例数が10件未満の場合はハイフン(-)で示してあるため数値の表示はありませんが、前年度同様、胃癌や肺癌を多く診療しました。(ただし、早期癌等を内視鏡下で完全に切除でき、その後外科手術等に至らず退院となった例はこの中に含まれていません。)
その中でも、病期不明癌の入院が多くなっていました。
日本消化器学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医の資格を持つ常勤医師が在籍しております。
外科が休止中ですが、胃癌・大腸癌が内視鏡検査で発見された場合については病期に関わらず、適切に専門医へ紹介・転院調整をおこなっていく体制を整えております。又、他医にて手術された後の*2化学療法(抗癌剤治療)もおこなっていける等の連携体制を整えております。
また、医師・看護師・その他の医療スタッフで構成された緩和ケアチームにより癌に伴う疼痛に対するケアにも対応いたします。

*1 再発癌・・・転移癌の治療や、他院での治療終了後に当院で診療した場合をいいます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 20 26.30 85.35
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
ここでいう「肺炎」は、20歳以上の方の一般的な肺炎で「誤嚥性肺炎」を除外したものを示しています。
各々の病態について、肺炎重症度分類(A-DROPスコア)に従って重症度の判定をしています。
70歳以上の方が大半を占めており、中等症の方が多くおられました。高齢になるにつれて重症・超重症になる傾向が見られます。
高齢で重症の患者様でも早期に適切な治療を行い、積極的なリハビリテーションを行うことで早期離床を図り、安心して退院できるよう努力しております。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
- - - - -
脳梗塞の治療目的での入院患者数に関するデータを示しています。

いずれも10件に満たないため件数等の表示はありませんが、当院ではCT・MRI等の画像検査で確認・診断後は速やかに注射薬等による薬物療法に加えて、できるだけ早期にリハビリテーションを導入し、軽快退院していただけるよう努めています。
件数も少なく、70歳以上の高齢層の患者様のみであったため、平均年齢は非常に高くなっています。
発症3日以内の入院での在院日数は概ね20日以内でしたが、長期の方もいたため平均在院日数は20日を超えています。
転院した症例はありませんでした。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 211 0.84 3.31 0.95% 63.75
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみのもの) 13 10.15 20.69 15.38% 77.92
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 12 6.50 24.33 0.00% 90.17
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む。) - - - - -
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル以上) - - - - -
内科では前年と同様、大腸にできたポリープを内視鏡下に切除する手術を最も多くおこなっています。
健康診断・人間ドックなどがきっかけで受診後に治療となる方や定期的な経過観察の検査後の方が多いため、当院の中では平均年齢が若干低くなっています。
ほとんどの場合、内視鏡検査目的に来られて検査に引続きポリープ切除をおこなった後、経過観察目的に入院となり2~3日で退院されています。まれに他の疾患で入院治療中の方が、貧血の精密検査等で大腸内視鏡検査をおこなってポリープが見つかり切除となったケースもあります。
2位は内視鏡的乳頭切開術でした。胆のう結石や胆管結石などが原因の疾患に対して行われる手術です。3位は内視鏡的胆道ステント留置術で2位と同様の疾患に対して行われるものでした。いずれも開腹手術が難しい高齢者の方に適した内視鏡下の手術で、その他の胆道・膵管の内視鏡検査・治療についても胆道専門医が積極的に行っています。高齢の患者様が多いこともあり、術前・術後平均日数は長くなっています。
4位は胃瘻造設術(PEG)を多くおこなっています。経口摂取が困難となった方に対して、流動食を注入するためのPEG(胃瘻)を内視鏡を用いて造設する手術となっています。同様の手術で経皮経食道胃管挿入術(PTEG)もあり、病態的に胃瘻を造設するのが不都合な場合に食道に造設する場合もあります。
5位は、1位と同じ名称の大腸ポリープ手術ですがサイズの大きいポリープの切除をしたものです。
ここにあるすべて内視鏡下での手術で、内視鏡を得意とする専門医が在籍していますので術後のケアも安心していただけます。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6335 ヘルニア手術(鼠径ヘルニア) - - - - -
K672 胆嚢摘出術 - - - - -
K7193 結腸切除術(全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術) - - - - -
外科では、消化器の手術を多く扱っています。
1位は、鼠経ヘルニアに対する手術でした。
2位は、胆嚢摘出術と悪性腫瘍に対する結腸切除術を同件数おこないました。
内科・外科ともに消化器系の手術が多くを占めています。内視鏡検査・治療を得意とする内科医と、消化器の手術・化学療法を得意とする外科医が必要に応じて連携をとり、「検査→診断→手術→化学療法」といったように外来でも継続して治療を受けて頂ける体制となっておりました。
2021年7月より外科医不在となったため診療は休診とさせていただいています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 63 0.00 0.38 0.00% 76.94
K279 硝子体切除術 - - - - -
眼科では、ほとんどが白内障の手術となっています。
レンズの働きをしている水晶体が、加齢などで白く濁ってきたり固くなってピント調節がしにくく見えづらくなる病気で、この固くなって濁った水晶体を超音波で砕いて取り除き、かわりに人工のレンズを入れる手術です。60~90歳代の幅広い年齢層の患者様の手術を行っています。入院当日に手術を行い、日帰り~翌日の退院となる例が大多数となっています。現役世代の方でも家事やお仕事への支障が少ないよう、短い入院日数での治療をめざしています。
2位は硝子体に対する手術です。網膜剥離や硝子体出血、糖尿病により進んだ網膜症などに対して行われる手術です。白内障手術と併施される事も多くあります。
いずれも、通常2~3日の入院で1週間以内となっています。早期に外来通院での診察へ切替えて経過をみていきます。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K368 扁桃周囲膿瘍切開術 - - - - -
耳鼻咽喉科での手術はほとんどなく、扁桃周囲膿瘍の切開術のみでした。
この手術は、扁桃の炎症が悪化、それにより扁桃周囲に溜まった膿を切開して排膿させる手術です。
病状によりその都度相談・対応いたします。気軽にご相談ください。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K848 バルトリン腺嚢胞腫瘍摘出術(造袋術を含む。) - - - - -
婦人科での手術はほとんどありませんでした。
病状によりその都度相談・対応いたします。気軽にご相談ください。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 13 5.69 46.62 7.69% 87.77
K0811 人工骨頭挿入術(股) - - - - -
K0802 関節形成手術(手) - - - - -
K0461 骨折観血的手術(上腕) - - - - -
K0401 腱移行術(指) - - - - -
整形外科では、高齢の方が多く転倒した方が、大腿骨等を骨折したために入院・手術に至る症例が多くなっています。
1位・4位は「骨折観血的手術」で、骨折に対して、患部にメスを入れ、金属プレート等を使用して骨折部を接合する手術です。大部分が大腿骨ですが、上腕や前腕部の手術も行っています。
2位は、「人工骨頭挿入術(股)」で、大腿骨の骨折のうち、股関節側の骨端を骨折した場合にその骨端を「人工的な骨頭」に置き換える手術です。
3位の関節形成術(手)は、変形した関節に対する手術で骨の一部あるいは全てを切除摘出し腱の一部を利用して靭帯を再建する手術です。                                                                                           5位の腱移行術(指)は 腱の断裂を生じた場合にその指近くの腱とつなぎ合わせる手術です。                                                                                           
高齢者の骨折(大腿骨・股関節)などでは平均術後日数は長くなりますが、術後のリハビリテーションをじっくりと行うことでADL(日常生活動作)回復に努めております。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
これらの疾患は、治療を困難にさせる難治性の感染症等です。

「入院契機疾患(入院のきっかけとなった疾患)」と、入院中に「最も医療資源を投入した疾患(治療の中心となった疾患)」が、
・「同一」・・・基礎疾患がない、もしくは不明なまま発症した場合や、入院前にあった基礎疾患(肺炎、胆のう炎、尿路感染症など)が軽快しないままこれらの難治性感染症を発症し、その治療の為に入院となったもの
・「異なる」・・・基礎疾患の治療する目的で入院となったが、入院後新たに難治性感染症を発症し、その治療が中心となった…と考えられるもの

「手術・処置等の合併症」についても、
・「同一」・・・当該入院より以前に手術・処置をおこなったが、その後なんらかの合併症を発症、その治療のために今回入院となったもの
・「異なる」・・・「入院契機疾患」に係る手術をおこなったあと、入院中に何らかの合併症を発症し、その治療が中心になってしまった…と考えられるもの

これらの疾患は、臨床上ゼロにはなりえませんが改善すべきもので、この指標は、院内での感染症対策ができているかなどの医療の質を測るものと考えられます。
院内にて定期的に感染防止委員会及び勉強会を開催し、感染症の予防等に配慮し、治療をおこなっています。
更新履歴
2022/9/21