令和4年度 井野病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 - - 11 16 25 31 60 150 261 201
退院患者様全体の90%が60歳以上の方となっており、特に80歳以上の患者様では全体のおよそ6割を占めています。
地域に根差した高齢者医療の一役を担っており、近隣の病院や医院・施設等とも連携しています。                             
当院グループ施設として、老人保険施設を併設している他、サービス付高齢者向け住宅を有しており、退院後の受入れ施設も充実し、医療・看護・介護の連携したサポート体制も整っており、急性期治療が終了した後も、医療相談員などが退院後の受入れ先を提案・調整させていただくなど、退院後も安心していただける体制をとっております。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081XX99X0XX 誤嚥性肺炎 手術なし 手術処置等2なし 66 29.53 21.11 0.34 87.70
110310XX99XXXX 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 30 23.75 13.61 0.07 83.32
180030XXXXXX0X その他の感染症(真菌を除く。) 定義副傷病名なし・・・新型コロナウイルス感染症など 19 43.95 9.48 0.07 83.47
060340XX03X00X 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術処置等2なし 定義副傷病名なし 18 21.94 8.94 0.07 86.83
100380XXXXXXXX 体液量減少症 15 21.73 11.15 0.14 82.93
各科共通・・・症例数が10未満の場合は「-(ハイフン)」で表示しています。(地域包括ケア病棟への入院は除く)

内科では、高齢者に多い疾患である誤嚥性肺炎、腎臓・尿路の感染症、体液減少症(脱水)に加え、今年度は新たに『新型コロナウイルス感染症』での症例が上位となりました。
当院は、感染拡大早期より集団ワクチン接種の実施や新型コロナウイルスの感染患者様の入院受入れを積極的にしていたため、このような結果となりました。新型コロナウイルス感染症に関しては、保健所や他医からの入院要請による受入れが大多数であったため、感染治療終了後は他疾患の継続治療のため紹介元病院へ戻られるケースがほとんどでした。
他には、心不全・大腸ポリープなどの症例も多くありました。
転院に関しては、病状に関わらず希望で転院した例もありますが、他疾患の新規発症にて専門医での治療が必要となったケースや紹介元の病院へ戻られるケース、療養型病院への転院などとなっています。
平均在院日数は全症例において全国平均より長くなっておりますが、これは高齢患者様が多いこともあり、疾病が軽快した後もADL向上のためのリハビリテーション継続や施設等への退院調整をじっくり行う事で、安心して退院していただけるような体制をとっているためと考えます。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800XX01XXXX 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 17 39.94 26.42 0.14 88.59
160690XX99XXXX 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし - - 20.09 - -
160720XX01XXXX 肩関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 - - 14.17 - -
070200XXXXXX0X 手関節症(変形性を含む。) 定義副傷病名なし - - 6.90 - -
160610XX97XXXX 四肢筋腱損傷 その他の手術あり - - 9.03 - -
整形外科では主に高齢の方の転倒に伴う股関節・大腿骨の骨折や、骨粗しょう症が原因となり骨がもろくなったために起こったと考えられる様々な部位の骨折による入院が多く、平均年齢は概ね80歳以上と非常に高くなっています。
1位は前年度同様に手術を必要とした股関節・大腿近位の骨折で、手術は大腿骨の患部にメスを入れ、人工骨や金属プレートを用いて骨折部を整復するものです。(股関節内の人工骨頭挿入術、大腿骨の接合術など)
2位には、胸椎・腰椎圧迫骨折などで、手術を行わない保存療法でコルセット作成やリハビリテーションを行ったものでした。
3位は肩関節骨折の手術での入院がありました。他には、関節形成を行った手関節症や手術を要した腱損傷がありました。これらは、比較的お若い方が多いです。
転院例は、継続リハビリテーション目的例と紹介元(専門)への転院でした。
骨折等のほとんどは高齢患者の方ですが、疾患が軽快した後も継続してハビリテーション等を行い、ADL(日常生活動作)の回復を図ることで退院後も安心して生活して頂けるよう心掛けています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - - - - 1 8版
大腸癌 - - - - - - 1 8版
乳癌 - - - - - - 1 8版
肺癌 - - - - - - 1 8版
肝癌 - - - - - - 1 8版
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
症例数が10件未満の場合はハイフン(-)で示してあるため数値の表示はありませんが、前年度同様、胃癌や肺癌を多く診療しました。(ただし、早期癌等を内視鏡下で完全に切除でき、その後外科手術等に至らず退院となった例はこの中に含まれていません。)
その中でも、病期不明癌の入院が多くなっていました。
日本消化器学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医の資格を持つ常勤医師が在籍しております。
外科が休止中ですが、胃癌・大腸癌など内視鏡手術で対応できない症例においては、病期に関わらず適切に専門医へ紹介・転院調整をおこなっていく体制を整えております。又、他医にて手術された後の*2化学療法(抗癌剤治療)もおこなっていける等の連携体制を整えております。
また、医師・看護師・その他の医療スタッフで構成された緩和ケアチームにより癌に伴う疼痛に対するケアにも対応いたします。

*1 再発癌・・・転移癌の治療や、他院での治療終了後に当院で診療した場合をいいます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 25 22.04 84.96
重症 - - -
超重症 - - -
不明 - - -
ここでいう「肺炎」は、20歳以上の方の一般的な肺炎で「誤嚥性肺炎」を除外したものです。

軽症の方は70歳未満の方でわずかです。中等症以上になると70歳以上の方が多くを占めており、高齢になるにつれて重症・超重症になる傾向が見られます。
高齢で重症の患者様でも適切な治療を行い、病状が安定されたら地域包括ケア病棟を活用・積極的なリハビリテーションを行う事で早期離床を図り、安心して退院できるよう努力しております。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 - - - -
その他 - - - -
当院ではCT・MRI等の画像検査で確認、診断後は速やかに注射薬等による薬物療法を開始しています。
件数の表示はありませんが、多くが70歳以上の高齢層の患者様で占められているため、平均年齢は非常に高くなっています。
後遺症が残らないよう注意しながら、できるだけ早期にリハビリテーションを導入し、ADLが回復できるよう努めています。
病状や希望により専門の医療機関へ転院にも応じていますが、退院後も引き続き外来にてリハビリテーションを行っていただけます。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2センチメートル未満) 216 0.40 2.58 0.00 62.11
K6871 内視鏡的乳頭切開術(乳頭括約筋切開のみのもの) 12 6.92 19.42 0.07 86.25
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む。) 10 19.50 26.60 0.34 85.60
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 - - - - -
K664-2 経皮経食道胃管挿入術(PTEG) - - - - -
内科では前年と概ね同様の内視鏡下の手術で構成されています。
ポリープ切除術は、貧血等の精密検査にて行った大腸内視鏡検査にてポリープが認められそのまま切除となる場合や健康診断・人間ドックなどの大腸内視鏡検査にてポリープが見つかり切除となる場合がほとんどです。当院の年齢層は高齢・超高齢が多い中、健康診断・人間ドックなどを受けられる現役世代の方が多くなるため、平均年齢は低めで在院日数も短期になっています。
内視鏡的乳頭切開術や内視鏡的胆道ステント留置術は胆のう結石や胆管・総胆管結石などが原因の疾患に対して行われる手術で、いずれも開腹手術が難しい高齢者の方に適した内視鏡下の手術です。再発を繰り返す事も多い疾患で高齢の患者様が多いこともあり、術前・術後平均日数は長くなっています。
胃瘻造設術(PEG)や経皮経食道胃管挿入術(PTEG)は食事の経口摂取が困難となった方に対して、流動食を注入するための管を造設するもので、胃瘻(PEG)は内視鏡を用いて行い、食道瘻(PTEG)は病態的に胃瘻造設が適していない場合に胃瘻の替わりに造設するもので内視鏡下または経皮的に施行します。
ここにあるすべての手術は内視鏡を使用して行われる手術で、内視鏡を得意とする専門医が在籍しており術後のケアも安心していただけます。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 10 6.30 29.20 0.00 89.10
K0811 人工骨頭挿入術(股) - - - - -
K0802 関節形成手術(手) - - - - -
K0793 靱帯断裂形成手術(その他の靱帯) - - - - -
K093 手根管開放手術 - - - - -
整形外科では1位~3位は前年度と変動ありませんでした。
1位は骨折観血的手術で、骨折に対して患部にメスを入れ、金属プレート等を使用して骨折部を接合する手術です。大部分が大腿骨ですが、上腕や前腕部の手術も行っています。
2位は、人工骨頭挿入術(股)で、大腿骨の骨折のうち、股関節側の骨端を骨折した場合にその骨端を「人工的な骨頭」に置き換える手術です。どちらも大腿骨等を骨折したことにより入院および手術に至る症例で転倒した高齢の方が多く見られます。
3位の関節形成術(手)は、変形した関節に対する手術で骨の一部あるいは全てを切除摘出し腱の一部を利用して靭帯を再建する手術です。                                                                                           同数で靭帯断裂形成手術がありますが、主にスポーツなどで痛めた腕や足の靭帯に対して行われます。5位の手根管開放手術は、局所麻酔下で手のひらにある一部の靭帯を切ることで神経の圧迫を開放する手術です。                                                                                           
高齢者での受傷が多く平均年齢も高いですが、一部にはスポーツなどの運動で痛めた若年の方もあり、日帰り手術など短期の入院でも対応しております。
また高齢者の骨折(大腿骨・股関節)などでは平均術後日数は長くなりますが、術後のリハビリテーションをじっくりと行うことでADL(日常生活動作)回復に努めております。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 141 0.00 0.15 0.07 77.55
K2173 眼瞼内反症手術(眼瞼下制筋前転法) - - - - -
K279 硝子体切除術 - - - - -
K224 翼状片手術(弁の移植を要するもの) - - - - -
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法) - - - - -
眼科手術のほとんどが白内障の手術となっています。レンズの働きをしている水晶体が、加齢などで白く濁ってきたり固くなってピント調節がしにくく見えづらくなる病気で、この固くなって濁った水晶体を超音波で砕いて取り除き、かわりに人工のレンズを入れる手術です。60~90歳代の幅広い年齢層の患者様の手術を行っています。入院当日に手術を行い、日帰り~翌日の退院となる例が大多数となっています。
現役世代の方でも家事やお仕事への支障が出ないよう、短い入院日数での治療をめざしています。
2位は2例あり、1つは硝子体に対する手術です。網膜剥離や硝子体出血、糖尿病により進んだ網膜症などに対して行われる手術です。白内障手術と並行して施行される事も多くあります。もう1つは眼瞼内反症手術で、一般的に「逆さまつげ」と呼ばれるものの原因の一つの病態に対して瞼に行われる手術です。
その他、翼状片手術;結膜の組織が増殖して角膜の中央に向かって進入する病気に対する手術、眼瞼下垂症手術;まぶたが垂れ下がってしまい目が開けづらくなる状態に対する手術などです。いずれも、通常日帰りがほとんどで、2~3日までの入院となります。術後早期に外来通院での診察に切替えて経過をみていきます。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 - -
異なる - -
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
これらの疾患は、治療を困難にさせる難治性の感染症等です。

「入院契機疾患(入院のきっかけとなった疾患)」と、入院中に「最も医療資源を投入した疾患(治療の中心となった疾患)」が、
 ・「同一」・・・基礎疾患がない、もしくは不明なまま発症した場合や、以前からの疾患が軽快しないまま難治性感染症を発症し、その治療の為に入院となったもの
 ・「異なる」・・・基礎疾患を治療する目的で入院となったが、入院後新たに難治性感染症を発症し、その治療が中心となった…と考えられるもの
「手術・処置等の合併症」についても、
 ・「同一」・・・入院以前に手術・処置をおこなったが、その後に何らかの合併症を発症、その治療のために今回入院となったもの
 ・「異なる」・・・「入院契機疾患」に係る手術をおこなった後、入院中に何らかの合併症を発症し、その治療が中心になってしまった…と考えられるもの
これらの疾患は、臨床上ゼロにはなりえませんが改善すべきもので、この指標は、院内での感染症対策ができているかなどの医療の質を測るものと考えられます。
院内にて定期的に感染防止委員会及び勉強会を開催し、感染症の予防等に配慮し、治療をおこなっています。
更新履歴
2023.9.14